PORSCHE930 SPEEDSTAR
販売期間 1989
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア OPENクーペ
エンジン 空冷水平対向6気筒SOHC
最高出力 231ps/5900rpm
最大トルク 29.0kgm/4800rpm
変速機 ワーナー製5速MT
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+トーションバー
後 トレーリングAアーム+トーションバー
全長 4.290mm
全幅 1,770mm
全高 1,310mm
車両重量 1330kg
 
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Total Car ServiceNARA SuperCarSelectionに新たなマシンが入庫しました。
このポルシェスピードスターと言う車は、1948年にポルシェ社がいわゆる「ベルリン・ローマ・レーサー」のメカニズムの延長線上にアルミボディの2シーターでロードスター型のプロトタイプを試作し、ポルシェの名を初めて冠したモデルである356.001型まで歴史が遡られる、ある意味THE PORSCHEと言えるモデルなのです
故にポルシェの力の入れ様には目を見張るものがあり、全世界2000台限定(日本には200台とも250台とも言われる)超レア車とは言え細部に渡って専用の部品が奢られた非常に贅沢な一台です。もちろん現存している個体は少ないでしょうが、コンディションが保たれた個体を探す事はどんどん困難になっていきます。
TotalCarServiceNARAではこの希少モデルの極上車を更に徹底的に仕上げて次のオーナー様の手元に渡る日に備えています
それでは、この車輛のメンテナンスの工程をご紹介していきましょう。
ご興味のある方は御遠慮なくお問い合わせください
現在の走行距離は6514mile、kmにして10422kmと非常に走行距離の少ない個体です。
距離が多くてもきちんとメンテナンスを施してやればコンディションの良い状態で保つ事は出来ますが、シートや内装、各部のブッシュ類はやはり走行距離と比例する部分が多いですよね
この手の車輛はシートやハンドルなどをオリジナルのモノで拘られる方が多いでしょうから、純正品が傷んでいないという事はやはり大事なポイントになってくるでしょうね。
機械部分は殆どの部品が入手が可能であっても、スピードスター専用品や、特に内装パーツは現品限りとなってしまう事が多いですから出来る限りコンディションの良い個体を購入して頂いて、きっちり整備を行ってから末永くこのSPEEDSTARと言う特別な車を後世に残していってほしいモノです
走行距離の少ない個体だけあって、シート・ハンドル・シフトノブ・各スイッチ類等のマテリアルのコンディションは非常に良いですね。ドライバーズシートの経たりですら微塵も感じさせません。破れやすれ等もなく適度なホールド製とゆったりしたポジションのシートに座りこむと柔らかくその身を包みこんでくれます
古い車とは思えないシートの取付の剛性感の高さはやはりRECAROのフレームならではです。OPENモデルとはいえども、座ってみるとステアリングポジション、ペダル配置、シフトのポジションもなかなかのものです。ポルシェの基本設計の高さを感じさせずにはいられません
運転席に座りこみ、そのまま各スイッチ類と電装系の点検に入ります。古い設計ですので乗っていなくてもアース不良や経年劣化でトラブルが出ている場合もありますので、動かせるところ全てを動かして確認していきます
灯火類も少しノスタルジックな感じで、古さはあるものの懐かしさを感じるデザインです
昨今はLEDが主流になっていますので、こういったハロゲン球ならではの柔らかさと温かみのあるライト二ングはこのスピードスターの存在感を発揮させている様に思います
ややサイド出しに配置されたマフラーからは往年のポルシェフラットシックスの咆哮を奏でております。このメカニカルな音もやはりポルシェ。見るモノ・聞くモノ・触るモノそれら全てがポルシェであるという事を感じさせずにはいられません
バンパーのモールや、ボンネットのモール、ワイパーブレード、その一つ一つがオリジナルの状態で綺麗な状態を保てている事に、この車の前所有者の方がとてもこの車を愛していたという事を物語っています。きっとSPEEDSTAR専用のガレージを建てて保管して、月に数回ドライブに出かけたというスタイルだったのでしょう。このSPEEDSTARと言う車は走るだけでなくじっくり細部を眺めれば眺めるほどポルシェ社のSPEEDSTARに対するこだわりを感じさせる車であるという事がわかります。きっと車を磨くたびに新しい発見をしさぞかし満足されていた事でしょう
世界限定の希少車であるSPEEDSTAR,きっと整備を進めていくうちに新たな発見があるかも知れない。二柱リフトでリフトアップする際のカッチンカッチンと言う作動音が私の気持ちの高揚とシンクロしてドキドキ、ワクワクが止まりません
下回りを覗いてみましょう。やはり綺麗な状態です。多少の汚れはもちろんありますが、それでも前オーナー様は雨の日に乗る事はなかったのでしょう
下回りの錆は見当たらず、アンダーコートの剥がれもありません
エンジンルームから点検を始めていきます
内外装・下回りも良好でしたが、こういった車はエンジンルームも綺麗です。フラットシックスエンジンがポッコリ収まっています。きっとオーナー様が休みの日にはガレージで磨いていたのでしょうね。愛着を持って接していたのがここからも窺い知れます
綺麗なエンジンルームの車はメカニックにとってもやる気を感じさせてくれます
エンジンオイルの状態も良好ですがこの機会に交換しておきました
良い吸気・良い圧縮・良い点火・良い排気の基本原則に則り、その良い点火を担うのがデスビと言う点火コイルです。デスビのO/Hを念の為済ませておきました。同時にプラグの状態も問題はありませんでしたが、気持ちよく走れるようにプラグも交換しておきます
ボンネット裏にはこのエンジンの簡単な概略図と共に、排気ガスコントロールシステムの概略が記載されています。こう言った記載があると、不調時に最低限どこを点検するべきかのヒントになりますので非常に助かります。日本の様に自動車整備に関する環境が整備工場任せではなく、プライベーターが多いと言う大陸ならではの環境ですので欧州車はこういった記載が多く見受けられます
エンジン下回りを見てもオイル漏れは全くと言って良いほどありません。空冷ポルシェはオイル漏れが付き物、空冷ポルシェはオイル漏れ修理がメカニック泣かせ・・・と思っていたので少々嬉しい様な、残念なような・・・兎にも角にもオイル管理が適切だったという事を物語っています
エンジン番号は930.101.104.5Pの記載があります
この年式のポルシェでは考えられないくらいエキゾーストの状態も良好です。流石にフランジのボルトは流石に錆があるので、交換出来るボルトはこの際なので交換しておきます
マフラーは錆がひどくなると朽ち果ててしまい、排気漏れの原因になるだけでなくこのスピードスター用のオリジナルのマフラーが今後手に入る可能性が少ない事を考えれば、常にオーバークオリティと言えるレベルの手直しを心がけたいものです
トランスミッションはワーナー製の五速マニュアルが搭載されています
ドライブシャフトアウトプットシャフトからのギアオイルの漏れも見あたりません
シフトリンケージのピボット部分の点検も行いましたが、こちらの状態も良好です。ここまで見てきてもメカニック泣かせかと思いきや、逆に消耗品だけの交換で終わってしまいそうで少し寂しさを感じてしまいます
とはいうものの、いくらコンディションが良くても年式から考えると手直ししておきたい部分は細かい事ですが沢山あります。このエンジンに取り付けられているアースポイント。
古い車ほどボディ自体の電気に対する抵抗が大きく、この様に純正でアースケーブルをタコ足の様に配線処理をおこなっています。このアースの接点部分の導通が悪くなり電装系にトラブルが起こる事が多いですから、下回りを見れる時に一度接点の処理を行ってから組み直しをする様に心がけています
リアブレーキ周りを点検していきます。ブレーキオイルの漏れや滲みの有無、サイドブレーキの引き摺りが無い事を確認します。ローター表面の状態、ブレーキパットの残量の確認、ブレーキパットセンサーの断線が無い事も確認しました。ブレーキキャリパーの取付、ホイールハブにガタが無い事も確認したのちに、ボルトが規定トルクで締まっている事を確認しました
リアにはスペーサーが装着されています。このSPEEDSTARはリアホイールアーチがターボルックになっていますので、ホイールの出面を調整しているんですね
リアタイヤは残り溝はほぼ新品状態ですが、残念ながら経年劣化には勝てません
タイヤのショルダーはほぼ全周劣化によるヒビ割れが見受けられます。サイズは245/45ZR16、フロントタイヤも同様に劣化が進んでいますのでタイヤは四輪交換予定です
フロントの点検を行います。こちらもパット・ローター・キャリパー・ハブの状態は問題ありません、ショックのオイル漏れ・経たりも無くコンディションは上々です
舵取り装置のステアリングロッドのブーツ破れも無く、ガタつきもありません
ここまで整備が行き届いているとせっかくのSPEEDSTARを触りたいと言う気持ちでウキウキしていた私にとってはくどいようですが残念です・・・
さて一つ面白い発見をしましたよ。このSPEEDSTARに装着されているホイールット
一か所おかしなところがありますが、皆さんお気づきですか?
合計5本のナットの内、一本だけが貫通ナットですね。
ナットを無くしたので一本だけ交換したのか?これは調べてみないとはっきりとは言えませんがこれは私の予想では、ホイールのエアバルブの部分にこの中空ナットが来る様に組み付けるはずです。なぜならエアバルブはホイールの一番外周部分に位置する為遠心力の加減でホイールバランスに影響が出やすいのです。ちょうどエアバルブの位置にホイールナットの内一本が来る事を考えると、エアバルブ部分のホイールナットを軽くすることでバランスを調整しているんだと思います。これが純正でそうしているならば、なかなかの拘りですね
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このスピードスターは時間をかけてゆっくりメンテナンスを行っていますので新たなメニューがあれば随時このページに追加していきますのでご期待下さい